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【FORUM PRESSレポーター】本山ゆかり コインはふたつあるから鳴る


「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。

今回は、2021年4月23日(金)~5月11日(火)に開催された
本山ゆかり コインはふたつあるから鳴るをレポート!

Report431【絵画って何だろう】田本莞奈

絵を描くことに向き合い続けた本山ゆかりさんの作品展には、面白いアイディアで作られた作品がいっぱいありました。中でも、世界的な名画をモチーフにして、額も含めてロープで一筆書きのように描いた作品が気に入りました。白い壁に釘を打ち、ロープを這わせて作られます。壁と同じ色の真っ白なロープなのに、迫力があり見入ってしまいました。布を使った作品では、シワも作品の一部なのだそうです。私だったらシワは取り除いてしまうので、すごいなと思いました。さらに、本山さんは会場の雰囲気にも気を配ったそうです。銀色だったピクチャーレールは、すべて白色に。移動壁の脚は四角く囲うなど、細かなところまで工夫が凝らされていました。個々の作品だけでなく、会場の雰囲気やチラシ、パンフレットも含め、「コインはふたつあるから鳴る」の世界観を感じることができました。“絵画”や“アート”の奥深さを味わうことができて、楽しかったです。

Report432【考えた、その先に】紀瑠美

本山さんは「絵とは何だろう」と考え続け、作品に表しています。本展では3種類の作品が揃い、見応えがありました。特に、白い壁に白いロープで描いた「絵」は興味深かったです。既存の絵を線でなぞり、壁に投影して釘を打ち、釘にロープを掛けながら一筆書きするそうです。元になっている絵は、セザンヌの絵。輪郭線を描かず、光を描くことで表現しようとしたセザンヌの絵を選んだところに奥深さを感じました。本作では「絵は変化せず、持ち運べることが重要」とされてきたことについても考えたとのこと。本山さんの作品は持ち運べませんが、額縁ごと描くことで「絵」であると認識させていて面白かったです。会場で配られたパンフレットも、展覧会を楽しむヒントとなりました。来場者との会話を大切にする本山さんの姿も印象的で、質問に答えたり、説明したりしながら、さらに思考を深めているようでした。今後も春日井で現代アート展を見られたら嬉しいです。