レポート
【FORUM PRESSレポーター】朗読でなぞるシンジ・カトウ 宮沢賢治幻燈館
「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。
今回は、2024年2月25日(日)に開催された
朗読でなぞるシンジ・カトウ 宮沢賢治幻燈館をレポート!
Report518 【光の森・星の声】高塚康弘
詩人の故郷の言葉で読まれる『雨ニモ負ケズ』が静かな風のように流れます。案内役の“猫賢治くん”がいざなうのは、大型スクリーンに映し出されるシンジ・カトウさんのイラストと、賢治と同郷の声優・桑島法子さんの語りが紡ぎ出す世界。朗読のはざまを彩る音楽は、祭りの夜をゆく足どりのように涼やかに弾みます。そんな柔らかな色彩に包まれた舞台の上で、桑島さんの声によってさまざまな登場人物がそれぞれの声で話を始める様は、まるで手品を見ているよう。光きらめく水の底から意地悪な猫の事務所、そしてはるかな銀河をめぐり、最後はその身にいっぱいの悲しみを背負ったよだかの祈りとともに空を昇ってゆきました。かすがい日曜シネマで上映された『銀河鉄道の父』に描かれた頼りなく愛すべき賢治も、この場にいたら手を打って喜んだことでしょう。会場を後に、誰かに優しくしたくなるような一日になりました。