レポート
【FORUM PRESSレポーター】100年の時を越えて 展覧会 金子みすゞの詩(うた)
「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。
今回は、2024年11月29日(金)~12月22日(日)に開催された
100年の時を越えて 展覧会 金子みすゞの詩(うた)をレポート!

Report540 【じっくりと味わう金子みすゞの詩の世界】山田真由美
「みんなちがって、みんないい。」 金子みすゞさんの『私と小鳥と鈴と』の中の、私が大好きな一節です。遠回りばかりの人生に自信を持てなかった時、そのままの自分でいいんだよ、と包み込んでくれるような優しさを感じたのを覚えています。関連企画として行われた金子みすゞ記念館館長・矢崎節夫さんの講演会には、本当にたくさんの方が聴きに来ていて、多くの人の心にみすゞさんが生きているのだと感じました。
展覧会場入り口に歓迎するかのように掲げられていた「ふるさと仙崎マップ」の、空と海の深い青色が美しいイラストもとても印象的でした。会場の中は、みすゞさん直筆の詩から、じっくりとその世界観を感じることのできる空間となっており、一つひとつの作品を心から味わうことができました。
遺稿手帳には512編の詩が綴られていたそうです。私は、みすゞさんが生れ育った山口県北部の日本海に面した町、仙崎を訪れ、もっと詩の世界を肌で感じてみたくなりました。そして、自分の手帳の「やりたいことリスト」の一番上に“金子みすゞさんのふるさと仙崎へ行く”と記しました。
Report541 【巡り会えた奇跡】紀 瑠美
まずは、金子みすゞ記念館館長・矢崎節夫さんの講演会に。童謡詩人を目指していた矢崎さんは、みすゞの詩に衝撃を受け、長年の苦労の末、みすゞが自身の詩を書き綴った3冊の手帳と巡り合いました。手帳には512偏が収められ、自己評価と思われる「×」や「Δ」が付けられた詩も。展覧会では手帳の中をそのまま撮影したパネルも展示されていたので、直筆の詩と共に、この印も見られました。
「鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい。」というフレーズが印象的で、みすゞの名は知っていましたが、改めて彼女の世界の広がりに驚きました。会場には前述の手帳が桐箱に入ったまま展示されていました。出すと壊れてしまう恐れがあるそうです。戦争をくぐり抜け、一人(矢崎館長)の熱い思いがあり、多くの人にその詩が届けられたことに感動しました。みすゞの詩や世界観を表現した絵本の原画や様々なアーティストによる作品など、多様な表現に触れられたのも楽しかったです。