門井慶喜が直木賞を受賞した長編小説が原作。宮沢賢治を愛情いっぱいに見守り続けた父の姿を描く作品です。
今も愛され続ける宮沢賢治ですが、生前は無名のまま37歳の若さで亡くなります。賢治の作品は彼の死後、その才能と作品の素晴らしさを信じる家族が世に送り出し続けたことで、高い評価を得るようになります。その筆頭にいたのは父でした。
若き賢治は、自分が何者であるべきか進路に迷い、滅茶苦茶なことを言いだすことも。しかし父は、それがどんなに意に反していても、大喧嘩になっても、結局許すのです。どんな時も決してその手を離さない…わが子への愛情があふれ出す様子が、時に厳しく、時にコミカルに描かれ、父の姿がどんどん愛おしく見えてきます。
優秀な妹、しっかり者の弟、いつも優しいまなざしで見守る母、規律を重んじる厳しい祖父。家族と賢治との穏やかなやり取りを見て感じる、温かな気持ちを是非体感してください。