レポート
【FORUM PRESSレポーター】「山下洋輔スペシャル・ビッグバンド・コンサート2018」
「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。
今回は、2018年6月24日(日)に開催された、
【山下洋輔スペシャル・ビッグバンド・コンサート2018】を、3人がレポート!
(C) Jimmy & Dena Katz
Report305【スペシャルな夕べ】 澤田佳奈子
ステージに黒のフォーマルで決めた15人が登場。最後に白いスーツの山下洋輔さんが現れると、拍手は一段と大きくなりました。山下さんがトップミュージシャンたちに呼びかけ、2006年に結成されたビッグバンド。2年に一度の春日井公演には、贅沢でパワフルな音色と空間を楽しみにしているリピーターが多いようです。ステージ向かって右側のトランペットやトロンボーンなどの管楽器、中央のドラムとベース、そして左側のピアノの山下さん。豪華な顔ぶれに、期待が高まりました。スペシャリスト達のあうんの呼吸による演奏が、ジャズを知らない私を、一瞬にしてジャジーな空間へ引き込みます。『極東組曲』や『ボレロ』(筒井康隆さんによれば“脱臼したボレロ”)の1部、そして『組曲 山下洋輔トリオ』の2部構成。ピアノが体の一部と化した山下さんが、どのシーンでも、ビッグバンドに笑顔を送りながら演奏する様子が、とても印象的でした。
Report306【魂を揺さぶるジャズサウンド】 阪井真佐子
山下洋輔氏が、聖地と呼ぶ春日井でのコンサートは、2008年から隔年で開催され、今年でなんと6回目。白いスーツで登場した華奢な山下氏は、70歳をゆうに超えているにも拘らず、彼が弾くピアノは精力的で、魂を揺さぶる力強さに溢れており、聴いている者たちを痺れさせます。ひじから手首を使って、豪快に鍵盤を打ち鳴らす“ひじ打ち”も大迫力!お得意のひじを前に突き出し「これで50年」とおっしゃった、山下氏のお茶目ぶりに人柄が伺えました。“脱臼したボレロ”と評されるほど、斬新なアレンジが施された『ボレロ』は、クラッシックを骨だけ残し、まさかここまで自由に肉付けできるものかと、驚嘆せざるを得ない圧巻のステージ。さらに、伝説トリオの名曲が、組曲として甦った『組曲 山下洋輔トリオ』は、山下ファンのみならず、ジャズファンのハートを完全にノックアウトしたようです。聖地春日井で初披露となったこの曲は、私たちにとって最高のプレゼントになりました。
Report307【至福のジャズの時間】 こじまみつこ
ジャズ界の巨匠、山下洋輔さんが春日井にやって来ました。トランペット×4、トロンボーン×4、サキソフォン×5、コントラバスにドラムの、トップミュージシャンたちを引き連れて。曲目はD・エリントンの『極東組曲』、ラベルの『ボレロ』、そして『組曲 山下洋輔トリオ』。
指揮者はいないのに、阿吽の呼吸で演奏は始まります。「皆が勝手に演奏している」と山下さんは言いながらも、まとまりは抜群。代わる代わる舞台中央に立ち、力いっぱいアドリブソロを演奏する奏者たちに、客席からの大きな拍手が鳴り止みません。
ピアノに向かう山下さんは楽しそう。軽い調子の指さばきから、肘まで使った華麗な演奏。鍵盤全部を使ったダイナミックな演奏も。
一人ひとりの楽器から飛び出した音が、会場内を自由に駆け回るようです。観客は拍子をとりながら、リズムに体を自然にゆだねます。ジャズって面白い。ジャズって心地よい。ワクワクしてきます。
終演後、家族や友人と談笑しながら帰っていく人の顔には、笑顔が溢れていました。