レポート
【FORUM PRESSレポーター】「林家たい平 親子落語会」
FORUM PRESSレポーターによる「わたしレポート」。
2016年5月22日(日)に開催された『親子落語会』のレポートです。
FORUM PRESSvol.75にもレポートを掲載しています。Report151はコチラからご覧ください。(PDF:3.92KB)
Report152 「親子で笑っチャオ」 宮川あけみ
出囃子が流れる会場に入ると、多くの親子が始まりを待っていました。今回、高座に上がったのは林家たい平師匠。『笑点』でおなじみの方です。御自身も3児の父であり、各地で親子落語会を行っているとのこと。落語を共通の話題にして親子の会話を楽しんでほしい、親子で笑うツボが違うからさらに会話が生まれるとも話していました。
まず落語の世界を楽しむために、声色やしぐさで人物の違いを表すこと、扇子や手拭いの使い方などを教えてもらいました。このとき強調していたのは聞き手の想像力が大切だということです。
落語の演目は『初天神』。天神様にお参りに出かけた父と息子。物を買わない約束をした息子が、どうにかして買ってもらおうとおねだりをする掛け合いがおもしろい話です。会場が天神様のお祭りのような雰囲気になるほど、皆が引き込まれていました。親子で同じところで笑ったり、違うところで笑ったりする姿に、師匠が望む親子の会話が生まれるきっかけになるのではと思いました。
Report153 「“落語”―キーワードは“想像力”!」 前島恭子
「落語は想像力を育てる」とたい平さんは言います。「生きてゆくのに一番大切なのは想像力だよ」と。
『親子落語会』は3部構成。1部はたい平さんが寄席や落語というものの紹介や演技のコツを判りやすく、面白く語りながら『みそ豆』を演じてくれました。
2部は『江戸太神楽』。傘の上でボールや湯呑みや枡を回したり、あごや額に椅子を立てたり、棒の上でお皿を回したり……。ナマで観るのは初めてで、ドキドキハラハラの連続でした。
そして3部は『親子落語会』なので子どもが出てくる噺『初天神』。小生意気な子どもと少しマヌケな親父さんとのやりとりは何度聴いてもお腹がよじれます。
平成の今、忘れていたゆったりと流れる時間を思い出しました。ありがとうございます。
「落語を聴くと元気になれるんだよ」「生きてゆくのに一番大切なものなのだよ」。たい平さんが真剣にくりかえし語りかけるのがとても印象に残った落語会でした。
Report154 「落語が生み出す、幸せワールド」 與後玲子
通常「親子○○会」というと会場は、ワイワイガヤガヤしているものですが、さすが人の話を聞くという落語ならではでしょうか、開演前の客席はとても静か。しかし、落語が始まると、子どもらしいはじける笑い声があふれました。楽しい時にゲラゲラ声を出して笑う事、それは、年齢を問わず、体の中に幸せ・健康エキスがめぐる事。噺家の話芸により、その情景が誰のものでもない唯一無二の想像というスクリーンに浮かび上がります。想像力の世界に年齢の垣根はなく、むしろ子どもの方が不必要な情報に惑わされず楽しむ力があると、たい平師匠はおっしゃいます。落語の登場人物は、なにかしら失敗や問題を抱えていますが、笑いという魔法の作用で、幸せな気持ちにさせてくれます。また、たい平師匠は、扇子と手ぬぐいのみの小道具で、すべてを表現するという「スゴ技」も披露してくださり、いつの間にか会場は、幸せのたい平ワールドに引き込まれていました。
Report155 「子どもにもわかる落語の面白さ」 田中昭則
親子落語会、と聞いて正直なところ、ちょっと心配でした。はたして子どもたちに落語がウケるのだろうか、と。でも、蓋を開けてみれば、そんな心配は吹き飛んでしまいました。さすがは話術のプロ、噺家です。
マクラでは冗談を交えつつ、落語とは一体どんなものなのかを分かりやすく解説します。いつの間にか噺が始まり、笑わせるところでは子どもたちにもドッとウケていました。中には腹を抱えて笑う子もいるほど。その様子を見ていると、今時の子どもたちも、想像力のエンジンを働かせれば、ちゃんと笑いの勘どころを理解して笑うのだと感心しました。まさにたい平師匠の狙い通りの落語会でした。
いろものの太神楽は、古典的な大道芸で子どもたちだけでなく、親御さんたちにも新鮮だったようです。とにかく公演時間があっという間の、楽しい親子落語会でした。
Report156 「たい平さんの人柄にほっこり」 阪井真佐子
春日井市東部市民センターで公演された林家たい平の『親子落語会』。たい平さんの温和な人柄が終始話しぶりの中に滲み出ていた。この日は奇しくも人気TV番組『笑点』の歌丸ラスト大喜利スペシャルで5時半から生放送が予定されていた。レギュラーのたい平さんは、話の途中でそのことに触れ、「ヘリコプターでとんぼ返りする」などと言って笑わせていた。『笑点』をネタにしている時のたい平さん、妙に生き生きとしていた。たい平さんは、『笑点』のメンバーで一番の若手なのに、51歳だとか。中堅の彼はこれからの落語発展のために尽力している。その一つとしてこの『親子落語会』があるようだ。落語を通して子どもの想像力を育てたいとのこと。親子が隣同士で座ることによって、子どもは親の横で親の笑い声を感じてほしいし、親は子どもの笑うところで子どもの成長を確かめてほしいとも。最後に子どもたちに、「平和」「いじめ撲滅」「地球環境」についてのメッセージを送ったたい平さんは、どこまでも爽やかだった。
Report157 「落語家 林家たい平さんの試み」 大橋正枝
「 落語は想像力が大切なんです」という林家たい平さん。手ぬぐいが焼き芋になったりポテトチップスの袋になったり。
開演前、落語って何?どんなことが起こるのかな?と思っているのでしょうか、子ども向け公演にも関わらず皆静かに席についていました。
日頃、時代劇にも馴染みがなさそうな子どもたちが、どんな景色を想像しながら落語を聞くのか心配していましたが、たい平さんの七変化に両手を叩いて笑っている姿を見てほっとしました。太神楽の芸ではキャラクターショーにも劣らない歓声が響き渡っていました。親にもたれかかって聞いている子どももいて、みんなリラックスして楽しんでいる様子でした。
たい平さんの「落語によって子どもの想像力を養い、親子のコミュニケーションを豊かにする」という試みは大成功だったのではないでしょうか。
親子落語会の子どもたちを見て、これからの落語の未来は明るい、と思ったのでした。