レポート
【FORUM PRESSレポーター】第207回 昼コン「春の日は過ぎ行く」
FORUM PRESSレポーターによる「わたしレポート」。
2017年5月13日(土)に開催した第207回 昼コン「春の日は過ぎゆく」のレポートです。
@文化フォーラム春日井・交流アトリウム
Report212 弦楽器で奏でる季節の移ろい…春から夏へ 與後玲子
『昼コン・夜コン』は出演者のおしゃべりを交え、音楽が身近に、日常の一部になることを願って続けられている無料コンサートです。私は、芸術に疎い生活を送ってきたので、音楽という扉を開けるには絶好の催し物でした。5月13日(土)の昼コン『春の日は過ぎゆく』では、『サラマンカホール・レジデント・カルテット』が登場しました。美しい4人の演奏者が登場するだけで観客は舞台に集中。曲を紹介する彼女たちのおしゃべりも、初々しく爽やかです。しかし、曲が始まると打って変わり饒舌な芸術家に変貌。1曲目は、まどろむ春のめざめをイメージする、エルガーの『愛の挨拶』。美しい弦楽器のメロディーが優しく私たちを包みます。そして、春の躍動感溢れるクライスラーの『愛の喜び』。やがて夏をむかえようとする激しくかつ哀愁のこもった、ピアソラ『リベルタンゴ』を弦楽四重奏で味わえる楽しさ。 続いてベートーヴェン、大河ドラマ『真田丸のテーマ』へと、コンサートの名に相応しい選曲で終演。
すばらしい曲をつむぎ出す4人の、曲のすばらしさをいかに伝えるかに集中し演奏する真摯な姿勢にさらに、感動しました。
Report213 ステージも会場も春満開! 川島寿美枝
走り梅雨のようなあいにくの天気の午後。昼コンのステージに、『サラマンカホール・レジデント・カルテット』の4人の女性アーティストが登場すると、会場は大きな拍手に包まれ、一段と華やかになりました。
「春の日は過ぎゆく」というテーマで、寒い冬から解放され、春を謳歌する軽快なリズムの曲から、春の午後の日差しの暖かさに身を任せているような優しいメロディーまで、プログラムの構成と演奏のすばらしさに魅了されました。ラストの『真田丸のテーマ』や、アンコールの日本の四季をテーマにしたなじみ深い唱歌のメドレーに観客も私も酔いしれました。
終演後、4人にインタビューをさせていただきました。「ステージ上であがったりはしないのですか?」という質問に「あがりますが、観客の皆さんに良い演奏をお届けしたいという思いが強いです」との言葉に、プロ意識の強さをしみじみと感じました。
Report214 優雅で心が落ちつく雨あがりの午後 中林由紀江
「カルテットとは弦楽四重奏のこと」だと始めて知ったくらいの超初心者の私には、舞台上の四人の淑女たちの笑顔が、とても眩しく見えました。が、敷居を高く感じていた不安は、すぐに消えました。音楽が最初はさりげなく始まって心をノックされ、その後ぐっと惹きつけられました。題名は知らなくても聴いたことがあり親近感のある曲の数々。音楽もすばらしいのですが、合間の話がとても聞きやすく、音楽室の絵でしか馴染みのない大作曲家についても、わかりやすくお話をしてくださいました。アンコールの「日本の唄メドレー」は懐かしく心の奥まで染み渡り気づけば涙ぐんでいました。
演奏後にチェロの紫竹さんが、「音楽の楽しさやすばらしさを、どうしたら伝えられるかと考えて演奏しています。そして音楽をやれる幸せを感じています」と話された満面の笑顔が忘れられません。彼女たちの目的どおり、その気持ちは直球で心地良く私たちに伝わってきました。優しい気持ちでしばらくは過ごせそうです。