レポート
【FORUM PRESSレポーター】親子のためのファミリー・ミュージカル「ピノキオ~または白雪姫の悲劇~」
「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。
今回は、2017年8月27日(日)に開催された、
「親子のためのファミリー・ミュージカル『ピノキオ~または白雪姫の悲劇~』」の様子を3人がレポート!
Report233【ピノキオが行き着いた……家族?】 マエジマ キョウコ
会場に入って驚きました! 舞台の上にお姫様(白雪姫)のかたちの芝居小屋がかかっているのです。おまけに開演前から、さまざまなおとぎ話の登場人物が客席を練り歩き、子どもたちと笑いあうやらハイタッチするやら……。物語の世界が会場におりてきたようです。子どもたちの瞳がキラキラしています!
お話はご存知の『ピノキオ』。木の人形が、誘惑に負けたり騙されたりしながらほんとうの愛に目覚めてゆく物語。
普通のお芝居と違うのは「ねぇ、みんな! ピノキオの金貨が盗まれそうだったら教えてね!」などと、会場に呼びかけるところ。呼びかけられた子どもたちは一生懸命それに応えます。舞台と会場が一体となるミュージカルでした(宮本亜門さんの演出マジックなのかも……!?)。
ジェペットじいさんや、お目付け役で文句ばかりの白雪姫といったキャラクターを通して親子の関係が描かれる、大団円で楽しい舞台でした!
Report234【白雪姫の悲劇】 宮川あけみ
誰もが知っている名作『ピノキオ』。その作品が異才の宮本亜門さんの手にかかって変身した『親子のためのファミリーミュージカル「ピノキオ~または白雪姫の悲劇~」』。
続々と会場入りする親子の表情は、どんなミュージカルかなとワクワク、ドキドキしているように見えました。幕が上がる前に登場人物が現れて、客席にいる子どもたちに次々とあいさつ。ビックリしてマジマジ見ている子、あいさつを返してハイタッチをする子、怖いのか母親の陰に隠れようとしている子と様々。でも、どの子も視線は外せない様子でした。親もアッという表情で固まっていたりして、なかなかおもしろい反応でした。その緊張を和らげるように、ステージ上では司会役のお姉さんが声をかけて皆で体操をし、なぜかウェーブまで練習。一気に会場内の雰囲気はリラックスしたものになりました。
気になっていたのは、題にある「白雪姫の悲劇」とは何を指すのかでした。劇が始まると、観客にピノキオと白雪姫のどちらかを選んでもらい、それを上演すると告げられます。もちろん子どもたちは「ピノキオーッ」と答え、主役になるはずの白雪姫は脇に下がることに。なるほど、これが悲劇なのかと思ったら、まだまだ続きがありました。この白雪姫、劇中でピノキオを叱り、笑い飛ばし、突き放してみせたのです。親子のようなピノキオと白雪姫のやりとりは、見ていた親をドキリとさせたのではないでしょうか。親のような立場でピノキオを見ることになった白雪姫自身が悲劇とも思えます。ただ、この白雪姫がいることで、ピノキオのそばには叱咤激励してくれる存在がいるのだと思わせる、亜門流の演出なのかなと思いました。
Report235【夏の終わりに目を輝かせる子どもたち】 中林由紀江
宮本亜門さんが演出・脚色した『親子のためのファミリーミュージカル「ピノキオ~または白雪姫の悲劇~」』を観に行きました。まずチラシが、手書きのイラストで素晴らしく、とても目を引きました。幕が開くと、客席を巻き込んでのすごい臨場感でした。
有名なクジラの出てくる場面では、迫力のある絵一枚で観客を引き込みます。本当に飲み込まれ、一瞬でお腹の中の居るような感覚になりました。観客の大人も子どもも「わーっ」という歓声をあげていました。
登場人物の歌も、舞台を所狭しと動き回る演技も、とても素晴らしかったです。
わがままなピノキオが、ジェペットじいさんの海のような深い愛と、母のような白雪姫の愛、そしていろいろな体験を通して成長していくお話が、素直に心に響いてくる素晴らしい作品でした。さすが宮本亜門さんだと思いました。夏休みももうすぐ終わる頃の、ちょっと物憂げな子どもたちが、夢中になり目をキラキラ輝かせている姿に感動しました。