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FORUM PRESSレポーター 「天平ピアノコンサート2012」


春日井市民会館や文化フォーラム春日井で開催される、コンサートや展覧会などのイベントを紹介する、FORUM PRESSレポーター。2012/12/15(土)に開催された「天平ピアノコンサート2012」から、活動をスタートしました。
レポーターのみなさんからいただいたレポートは、FORUM PRESSや、こちらのブログにて紹介していきます。今回は、コチラの4名のレポートを、どうぞ!Report①・②はFORUM PRESS vol.54からどうぞ(PDF:4MB)

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Report③   心の扉を開く鍵  ますだ けいこ 

ピアノコンサートらしくないポスター写真で、ずっと気になっていた天平さん。舞台には、黒Tシャツとジーンズでラフに登場。名古屋エリアでのコンサートは久しぶりということで、オープニングは『お帰り、ただいま』という即興曲でした。流れ星を連想させるメロディが、天平さんの野性的な外見からの予想を見事に裏切ってくれて、次の曲への期待を高めてくれました。
順に演奏されていく曲は、緩あり急ありと変幻自在。圧倒的なパワーで押してくると思えば、繊細なアルペジオが心を揺さぶり、次第に客席がまとまっていくように感じました。炎のように燃え上がる人の心を表現した最終曲『フレイム』で最高潮に達したコンサートは、アンコール曲『火の鳥』でさらに盛り上がって幕を閉じました。
個人的に、どの曲にも、波を感じました。荒波。さざ波。繰り返し寄せてくる波。最後の一音の丁寧な響きと共に息を吐くと、体も心も解放される気がしました。客席のほぼ8割は女性のようでしたが、だれもが、堪能したに違いありません。

Report④   祈り・2012  前島 恭子 

2012年12月15日、天平ピアノコンサート2012『火の鳥』。「久しぶりに名古屋に来て、“おかえりなさい”って迎えられたような気がするので……そんな曲を1曲」と、関西なまりの飾らない言葉とプログラムにない即興曲でコンサートは始まりました。この日朝から降っていた小雨のような演奏と旋律は、黒いTシャツとジーンズのマッチョなルックスからは思いもよらない繊細なものでした。
続く演奏も、柔らかく優しいものが多く、少し意外に感じました。それは「中学2年生の時に神戸で震災に遭い、3・11に何かできることを」と語る天平さんの、祈りだったのでしょうか。
しかし、穏やかでこころよい2時間のラスト、アンコール2曲目の『火の鳥』は、まさに“衝撃のピアニズム!!かつてないスピード、パワー、テクニック”というキャッチコピーにふさわしい迫力!音に圧倒されました。弾ききった天平さんが輝いて見えたのは、私だけではないと思います。
―『火の鳥』の祈りが、東北に、世界に、届きますように―

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Report⑤   翼の片鱗が  かつみ I 

初めて天平さんのピアノを聴きました。198席というこじんまりした会場では、最前列に座ると出演者までの距離がほんの数メートルの近さ。黒いTシャツにジーンズ、顎髭という姿で登場した天平さんはピアニストというより、ドラマーみたいでした(失礼!)。アスリート並みのたくましい腕とは対照的に、彼の奏でるメロディはなんとも繊細で、そのギャップが際立って一気に惹きつけられました。
欧州や紀伊半島を旅して作曲したという、いくつかの楽曲からは、穏やかな風が吹いている場所や、木洩れ日の降り注ぐ道を思い起こさせてくれます。ひとつひとつの物語の世界へ、一緒に旅をしているように誘い込まれてしまいました。今回のコンサートのタイトルとなっていた『火の鳥』がアンコールで披露された時は、彼の魂を込めた響きがあふれ出てきて、世界へ羽ばたこうとしている翼の片鱗を見せてくれたかのようでした。

Report⑥  飯坂 かおる 

“衝撃のピアニズム!!”と書かれたパンフレットに写っている天平さんが、そのまま同じGパン姿でステージに登場した時、まさかピアノで涙させられるほどの感動を覚えると思ってはいませんでした。
天平-TEMPEI-さんの本名は、中村天平。ニューヨーク在中のピアニストです。彼のピアノに衝撃を受けて、私は生まれて初めてピアノを聞いて涙を流しました。とても両手10本の指で弾いているとは思えないほどの押し寄せる波のような音の洪水に、会場全体も圧倒させられていたと思います。音圧の強いパワー溢れる楽曲と、美しいメロディが織り成す清らかな楽曲とのギャップが本当に素晴らしく、彼の魅力にいつの間にか引き込まれていきました。
アンコールで披露された『火の鳥』は、“やって悔いが残るようなことは初めからするな。悔いが残らないように完璧を目指すんだ”とピアノで怒鳴っているようでした。
「カッコいいピアノとはこういうことだ!!」という天平さんが作り出すその楽曲、カッコいいピアノに、心を奪われました。

[2013/04/02|投稿者:S.H]