ホーム - レポート

レポート

FORUM PRESSレポーター
「松竹大歌舞伎」


FORUM PRESSレポーターによるイベントレポート第六弾。
2013/7/15(月・祝)に開催された、「松竹大歌舞伎 夜の部」を3名がレポートしてくれました。Report28・29はFORUM PRESS vol.58からどうぞ(PDF:4.8MB)

130715shouchiku_ookabuki

亀治郎改め四代目市川猿之助

Report 30   歌舞伎は庶民の夢の玉手箱   林 佳枝

「皆々様には、四代目市川猿之助を末永くご贔屓賜ります様、心よりお願い申し上げ奉ります~」舞台上、一列に並び座す裃姿のお役者衆が深々と頭を下げます。新猿之助を盛り立てる口上が次々と続き、ついに中央に鎮座する当人の初々しいご挨拶。襲名披露の口上は、実に賑々しく心温まるものでした。そして、その役者の成長を見守り、共に応援したい気持ちにさせてくれる良いものです。
先代の工夫で、特に躍動的な澤瀉屋の『義経千本桜・四の切』。聞くところによると、四代目はこの演目をライフワークにする決意との事。今回は品格ある武士と、親への思慕募らせる子狐の二役を鮮やかに演じ分けました。子狐の健気な仕草に引き込まれ、つい目頭が熱くなります。また『毛抜』は荒唐無稽な謎とき物。豪放で色好みの主人公を市川右近が伸び伸び演じて、本当に痛快でした。
歌舞伎の世界って実は、ゴージャス+モダン+スリリング。夢のひと時を堪能しました。

Report 31   伝統芸能のちから   ますだ けいこ

四代目市川猿之助の襲名披露公演当日、春日井市民会館は華やかにさんざめ いていました。ホールに入ると、福山雅治さんから贈られたという祝幕が目を引きました。二代目、三代目、そして四代目猿之助の隈取を組み合わせたというデザインで、とてもモダンでした。
演目は、『義経千本桜』・『襲名披露口上』・『毛抜』の三本。『義経千本桜』は、六月に文楽で鑑賞したばかりだったので、違いが印象的でした。黒子に操られた人形と、義太夫の語りで物語が展開する文楽に対し、人間が語り演じる歌舞伎。演劇性をより強く感じたのは歌舞伎でした。狐詞や狐手の演出、早替りや欄干渡り、欄間抜けといったドラマチックなアクションが日常との解離を際立たせるからだと思います。SF映画を目の前で見ているような感じ。これで生身なのだから驚かされます。見えないところで、どれほどの鍛錬がなされているのかと思うと、気が遠くなりそうです。
改めて日本の古典芸能の奥深さを知った気がします。

Report 32   四代目市川猿之助襲名披露 『義経千本桜』、『口上』、『毛抜』をみて   飯坂かおる

春日井市民会館で四代目市川猿之助襲名披露を拝見しました。涙が溢れたり笑い声を立てたり、様々な感情を覚えた公演でした。初めの『義経千本桜』では、市川猿之助演じる子狐が素晴らしかったです。忠信から狐に変わる見事な早替わりは、たった三秒!!狐の表現にも目を奪われます。下の舞台に飛び下りる際も、ポンと音を立てない狐の見事な演技。親を思う気持ちが、猿之助演じる哀れな狐の情として見せつけられ、感涙にむせびました。
『口上』は黒紋付の歌舞伎役者が、舞台に勢揃い。順に挨拶をしていきます。各役者の挨拶から、歌舞伎を身近に感じるのと同時に、強く引締まった世界を感じました。
『毛抜』は歌舞伎十八番の一つです。大笑いしたのは、髭を抜いてた市川右近演ずる弾正が「毛抜に足がはえたあ!」と叫ぶ場面。 葛西聖司(元NHKアナウンサー)氏の『極付!歌舞伎セミナー』で解説を受け、勉強してから拝見したので、楽しさ倍増でした!

[2013/10/05|投稿者:S.H.]