あの人と、春日井と
フルート奏者・かすがい「人・夢創り」文化スポーツ大使|林 里紗 2021.4
どんなことでも楽しんでやる。 それを、音楽が教えてくれた。
サウンドトラック愛。
音楽は物語と共に、人生を彩る
「物語の中で、音楽って大きな役割を担っていると思いませんか?小学生の頃から、映画を見ながら、実はシーンの背後に流れる音楽ばかり聞いていて…」BGM(バックグラウンドミュージック)のチェックに余念がなく、映画を「見る」よりも「聞き続けてきた」という林さん。「シーンと共に伴走していく音楽という存在に、心をぎゅっと掴まれたんだと思います。まだ実現できてはいないんですけれど、映画や漫画など、作品と共に、一緒に演奏するような、そんなもの作りができるフルート奏者になるのが夢なんです」
そんな林さんの影響を受けた作品群を伺ってみると…28歳にしては、セレクトがちょっと古い。最初に見た映画は「ターミネーター2」、好きな映画は「スター・ウォーズ」。高速道路でトンネルを抜ける時に聞きたいサウンドトラックとしてもお気に入りだ。そして「E.T.」や「インディ・ジョーンズ」、また数多くの映画音楽を手がけてきたジョン・ウィリアムズものは、今も見たり、聞き続けたりしている。「昔の音の方が、オーケストレーションが凄くて。壮大な音楽ってぞくぞくしませんか。今はデジタルでいろんなアレンジができると思うんですが、昔は全部アナログ。何の楽器を使っているのか、実は楽器じゃないのか?それを想像するのが面白くて!」「もちろんクラシックも聞きます。映画で言えばディズニーのファンタジアは、クラシックの名曲とアニメーションを融合させた傑作。音楽が登場人物の細かい心理を描いていく。それが、こんなにも人の心を揺さぶるものなんだって! BGMやサウンドトラックと言われるものをとことん追求し、マニアックなものまで聞きまくってきました」
〝音を楽しむ〞 その素直な気持ち
フルートを始めたのは中学生から。姉の影響で吹奏楽部に入ったのがきっかけだった。「それまでは、かけっこでも、三番くらいでいいか、みたいな感じで、ぬくぬくしていたんです」
しかし、中学でそれまでに無かった感情が芽生えてきた。「吹奏楽部の入部時にフルート希望者が15〜16人いて、オーディションがあって。絶対に負けるものかっていう気持ちに、初めてなったんです。4人の内の1人に選ばれた時は嬉しかった。そこから周りへのライバル心で、練習を重ね続けました」
当初は、フルート奏者の可憐なたたずまいに惹かれたという。「でも、実はフルートって、木管楽器の中で肺活量を使う楽器ベストワン。息を入れても半分は外に出てしまうため、音量を出すにはたくさんの息を入れなきゃいけないんです。大変で繊細な楽器に出合ってしまったと思いつつ、やめるという選択肢は、自分の中にはありませんでした」。そして音大に行くには、学費もかかれば、レッスン代もかかる。「両親からは、えーって言われましたよ。でも、フルートが生きがいになっていることをわかってくれたんでしょうね。やりたいなら頑張りなさいって」
大学を卒業して7年。現在は、レッスン講師、コンサートでの演奏などで各地を訪ねている。この4月からは春日井市の〝かすがい「人・夢創り」文化スポーツ大使〞にも就任した。
しかしこの一年、コロナ禍で次々とコンサートが無くなったのは痛手だったという。「それでも音楽って、ふとした瞬間に存在するんです。楽しい時も悲しい時も、口ずさむだけで心に寄り添ってくれる。世の中が緊急事態の時に、一番に切られるのは芸術って言われますが、一番に戻ってくるのも音楽や芸術。どんな時も私たちの傍らにあるんです」
林さんのポジティブさは、明るい明日をもたらしてくれる。
林 里紗Hayashi Risa
愛知県春日井市出身。名古屋芸術大学音楽学部演奏学科卒業。「茂木大輔と宮本益光の生で聴く“のだめカンタービレ”の音楽会」のオペラ「魔笛」や、黒い薔薇歌劇団「魔笛」に魔法の笛役として出演。第7回横浜国際音楽コンクール管楽器部門大学生の部第1位。第17回大阪国際音楽コンクール管楽器部門Age-G第3位。第24回ブルクハルト国際音楽コンクール管楽器部門審査員賞受賞。春日井市若手音楽家支援事業第1期登録アーティスト。
林さん コンサートのお知らせ
2021年8月14日(土)
春日井市東部市民センターホールリニューアル記念
コンサートグループ「花の詩」ミニコンサート
~想いを音楽にのせて~ @春日井市東部市民センター 入場無料