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生で聴く“のだめカンタービレ”の音楽会ピアノ版|みんなで作る音楽会 2021.4
生で聴く“のだめカンタービレ”の音楽会は、かすがい市民文化財団と、指揮者・茂木大輔さんの共同企画として誕生しました。二ノ宮知子先生の人気漫画のだめカンタービレに登場する曲を、オーケストラで演奏すると同時に、スクリーンに原作の名シーンや楽曲解説を映し出すスタイルは大ヒット! 2006年1月、春日井での初演を皮切りに、コンサートは日本全国へと広がりました。そして2017年には、のだめ音楽会「ピアノ版」が誕生。春日井では今年8月、ピアニスト・高橋多佳子さん出演の「ピアノ版」を初めて開催します。
長野県上田市 × 春日井市対談 のだめ音楽会がつなぐ、不思議なご縁。
サントミューゼ音楽事業企画制作担当・田澤拓朗 × かすがい市民文化財団プロデューサー・小松淳子
春日井で生まれたのだめカンタービレの音楽会。しかし「ピアノ版」の初演は、2017年に長野県上田市のサントミューゼで開催されています。「一体、なぜ!?」 その謎に迫ります![2021.2.28 ZOOMで対談]
「ピアノ版」誕生秘話
小松:サントミューゼでは、2017年から〝のだめ音楽会〞のオーケストラ版の開催と合わせて「ピアノ版」のを開催してくださっています。
田澤:〝のだめ音楽会〞のオーケストラ版の開催を決めた段階で、気軽に楽しんでいただける「ピアノ版」のコンサートを、アナリーゼワークショップの一環としてやってみることになったんです。
小松:アナリーゼワークショップとは?
田澤:本公演の前に、アーティスト本人が、楽曲の解説や魅力、作曲者の生い立ちを自分の言葉でお客様にお伝えしていく取り組みです。
小松:解説を聞くことで、音楽の魅力を深めることができるという意味では〝のだめ音楽会〞のコンセプトに通じるものがありますね。
田澤:通常のオーケストラ公演だけ(以下、オケ公演)では、コアな音楽ファン以外の新しいお客様を開拓するのが難しいと感じています。そこで、〝のだめ音楽会〞の「ピアノ版」を入り口に、オケ公演の魅力をお伝えすることができたらと、考えたんです。のだめカンタービレの漫画が好きな方はもちろん、老若男女が集まって行われるコンサートって、〝のだめ音楽会〞ならではですよね。
どう作る!?「ピアノ版」
田澤:小松さんは、「ピアノ版」の話を聞いた時、どう思われました?
小松:〝のだめ音楽会〞は、初演から指揮者・茂木大輔さんありきの企画でした。「ピアノ版」のお話をいただいた時は、「オケ公演のプレイベントとして、1回だけの話かな」と思いました。でも、サントミューゼさんと内容の話が進むうちに、曲数もあるし「これは、しっかり作らなきゃいけないんだな」と思った記憶がありますね(笑)。サントミューゼさんが「ピアノ版」を提案してくださらなかったら、多分生まれていなかったと思います。
田澤:「ピアノ版」には小松さん選定の原作のイラストが多めに入ってくるのも特徴だと思います。
小松:「ピアノ版」はオーケストラ版と比べると、料金的にも手頃で行きやすい。プログラムにショパンやベートーヴェンなど、お馴染みの作曲家の名前が並ぶので、初心者からすると安心感もあり、イラスト多めです。
「ピアノ版」と言えば、この方! ピアニスト高橋多佳子さんについて
田澤:サントミューゼの「ピアノ版」では、最初の2年間をピアニストの高橋多佳子さんでスタートできたのは大きかったと思います。ピアニストの、このコンサートに対する思いや情熱って大きいと思うので。
小松:高橋さんは、のだめカンタービレのことが大好きで、二ノ宮先生の原作を大事にされています。また、高橋さんが出演される「ピアノ版」では、伴侶でピアニストの下田幸二先生がプログラム解説を担当されていることもあり、ピアニストならではの視点や解説も面白いんですよ。
田澤:高橋さんのプログラムの中で、印象に残っている曲はありますか?
小松:ベートーヴェンの交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」より第1楽章抜粋。のだめカンタービレのLesson 18で、のだめが交響曲を編曲した場面を、高橋さんが見事に再現されました!
田澤:高橋さんが「ピアノ1台でオーケストラを再現できちゃうんです」っていう紹介の仕方をされていましたね。漫画で描かれていることが、生で実際に見て聞けるって凄いですよね。
小松:「ピアノ版」初の春日井公演も高橋さんの出演でお届けする予定です。サントミューゼはじめ、全国をまわりブラッシュアップされたコンサートを、地元のみなさまにお届けできる日が楽しみです。
漫画のだめカンタービレの大ファン、高橋多佳子さん。自宅のピアノ部屋には、いつでも、のだめちゃんに会えるように♡と、漫画が全巻揃っています。そんな、のだめファンの高橋さんが考えぬいたプログラムがズラリと揃う、のだめ音楽会「ピアノ版」。高橋さんに、お気に入りの曲を教えてもらいました。[2021.3.4 ZOOMで取材]
ピアノ・ソナタ第8番ハ短調作品13≪悲愴≫より第2楽章 ベートーヴェン(1770~1827)
のだめカンタービレのヒロイン、ピアニスト・のだめと、のだめと共に切磋琢磨していく仲間であり、恋のお相手でもある指揮者・千秋の出会いの曲です。もしかしたら “のだめ音楽会”にとって、一番大事な曲かもしれないと思い「ピアノ版」のプログラムに入れました。のだめと千秋の出会いの曲でもあり、コンサートでは1曲目に弾く ので、私とお客様との出会いの曲でもあるわけです。通常のコンサートでは、明るいステージにピアニストが出てきて、お辞儀をしてから演奏を始めるスタイルが多いです が、のだめ音楽会「ピアノ版」では、特別な演出をして、素敵な始まり方をします。ぜひご注目ください。
ラプソディ・イン・ブルー ガーシュウィン(1898~1937)
原作では、桃ヶ丘音大学園祭の前夜祭で演奏される曲です。この曲が描かれるシーンは、作者の二ノ宮先生が音楽の楽しみ方を色んな人たちに伝えてくださった、重要な場面です。私も原作を読んだ時に、「この曲、弾いてみたい!」と思いました。ガーシュウィンは、いわゆるクラシックの演奏家からみると、ちょっと異質な作曲家で、ポピュラー音楽の作曲家としても大活躍。この曲も、ジャズテイストがふんだんに盛り込まれた楽しい曲です。のだめカンタービレのドラマでも使われていますし、コマーシャルなどで耳にする機会も多く、お馴染みの曲だと思います。
ラ・ヴァルス ラヴェル(1875~1937)
私の出演するのだめ音楽会「ピアノ版」では、のだめが桃ヶ丘音大でたくさんの仲間に出会い、そこからパリに留学するまでを描いたコンサートプログラムになっています。「ラ・ヴァルス」は、原作には登場しませんが、フランス音楽の魅力をたっぷり味わっていただける曲です。ピアノの鍵盤も、下から上まで使いますし、色々な音使いが楽しめる派手な曲なので、コンサートの最後に相応しいと思って選びました。「ラ・ヴァルス」は、本来、オーケストラの為の作品なので、この曲を一人で演奏するのは難しくて(笑)。毎回チャレンジ精神で「よし、弾くぞ!」と覚悟を決めています。のだめが、覚悟を持ってパリに留学する姿と重なり合う部分があると思っています。春日井のコンサートでは、私のできる限りの力を出して演奏しますので、ぜひ応援してください。
高橋多佳子Takahashi Takako
第12回ショパン国際コンクール第5 位。国立ワルシャワフィルをはじめ国内主要オーケストラと共演を重ねる。既に20タイトルを超すCDをリリース。リサイタルでは独自の優れた企画と高い音楽性で常に絶賛を博す。国際音楽祭への出演、主要コンクールの審査員を務めるなど国際的なキャリアを築いている。
生で聴く “のだめカンタービレ”の 音楽会 ピアノ版
2021年8月14日(土)・15(日)
@春日井市東部市民センター
● 2021年8月16日(月) 高橋多佳子さんによるピアノレッスンあり
公演詳細はコチラ
「生で聴く“のだめカンタービレ”の音楽会」とは?
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