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聴き書き自分史“もの”語り

ネックレスとイヤリング|語り手 高橋 多佳子(ピアニスト)2022.1

ピアノに初めて触れたのは幼稚園のピアノ教室です。桐朋女子高・桐朋学園大で本格的にレッスンに打ち込み、卒業後10年間、ポーランドのワルシャワで学びました。共に研鑽したのが、後に夫になる下田幸二でした。結婚して15年目ぐらいの時、2人でこのスワロフスキーのネックレスとイヤリングを見つけ、「わあ、綺麗!」と思わず声が。その後、夫からプレゼントされ、私の元へ。
あるコンサートでのこと。コンチェルトでCD収録も兼ねた大事なステージだったので、舞台袖で待つ間、緊張は極限に達し、底知れぬ不安と恐怖が襲ってきました。
そんな時、あろうことか、ネックレスの留め金が外れて床へ落ちたのです。「わぁ、もうダメだ」と絶望的に。動揺していると、指揮者の方が「ゆっくりでいいよ」と声を掛けてくださり、あらためて着け直すことで心が落ち着き、納得のいく演奏が出来ました。ネックレスがマイナスをプラスに変えてくれた瞬間です。以来、このネックレスは、着けた途端「さぁ、行くぞ」と私を押してくれるのです。

[取材・テキスト]芳賀倫子(日本自分史センター相談員)
[語り手] 高橋 多佳子(ピアニスト)
[撮影]齋梧伸一郎
[協力]サントミューゼ

芳賀先生の自分史相談(無料、要予約)

毎週火曜日 13:00~17:00
文化フォーラム春日井・日本自分史センターにて。


高橋さんにも登場いただいている 生で聴く“のだめカンタービレの音楽会”全国ツアー。

2022年も全国各地で開催の予定です。