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【FORUM PRESSレポーター】新進作家支援事業 安藤シオン『カガヤク物語』


「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。

今回は、2025年2月14日(金)~3月9日(日)に開催された
新進作家支援事業 安藤シオン『カガヤク物語』をレポート!

Report544 【黒い背景にきらめく世界】松葉栄子
色鉛筆作家・安藤シオンさんの作品が250点以上も展示されると知って、とても楽しみにして開幕を迎えました。会場入り口に展示された、制作に1年以上を費やした大作の「ヒロガルナカミ」に思わず足が止まります。色鉛筆で描かれた色の重なりや細かな描写に、どこから見る?どこを見る?で悩んでしまいそうになるほどです。ほかにも、描かれる個性的なキャラクターや創造性を揺さぶられる作品たちには、それぞれに物語があるかのようで、何度観てもその世界への想像が膨らみます。
場内で「かわいい!かわいすぎる!」「これ何で描いてるの?色鉛筆?!」と楽しそうに話すお客さんの声を聞きながら、私も同じ気持ちで一体感を味わっていました。単色で描かれた作品は色の強弱だけで表現されていて、グラデーションの塗分けも美しく、特に水面は水色が輝いるようで、その美しさ見入ってしまいました。
まさに身近な色鉛筆の芸術。会期中、何度も何度も足を運び、その美しさを楽しませていただきました。

Report545 【一枚から広がる物語】紀瑠美
安藤シオンさんに初めてお会いしたのも、ここ文化フォーラム春日井・ギャラリー。2019年、シオンさんの自主企画による初個展でした。当時、大学3年生。色鉛筆画への思いや愛用している色鉛筆のことなどを丁寧に話してくれて、感心したことを覚えています。
その後、依頼を受けてサンマルシェの連絡通路のガラスに四季折々に可愛い絵を描いたり、文化財団の「みんなの美術部」のアシスタントに抜擢されたりと大活躍。一方で、自身の創作時間も大切にしていて、個展やワークショップを開いて作品を発表し続けてきました。いつお会いしても優しくて、感謝を忘れず前向きな姿勢が印象的です。
素敵な作品と地道な作家活動、その人柄も相まって、春日井ゆかりのアーティストを広く紹介する「新進作家支援事業」の作家に選ばれ、『カガヤク物語』を開催。会場には250点以上の作品が並び圧巻の光景でした。近年は色鉛筆の光沢とグラデーションをいかすために黒画用紙を採用。下描きをせず考えながら描くシオンさんの絵は、幾重にも重なり、細部にまで物語が宿っています。それらの絵を前に、楽しく語らう親子や友だち同士もいれば、一人でじっくり見つめる人も。ねらい通りと、シオンさんは喜びます。
絵を身近に楽しんでほしいという思いで用意したミニ額入りの作品は飛ぶように売れ、追加制作が間に合わないほど。絵本も完売して、急ぎ重版をかけたそうです。
来場者はファンが多いのかと思ったら、「初めての方のほうが多いです」とシオンさん。「皆さんのおかげです」と心から感謝する姿に、今後の活躍がますます楽しみになりました。


【FORUM PRESSレポーター】きりく・ハンドベル アンサンブル


「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。

今回は、2025年2月8日(土)に開催された
きりく・ハンドベル アンサンブルをレポート!

Report543 【魅せる響きの世界】宮川あけみ
コンサートの幕開けを告げたのは、意外な響きでした。トンネルに入ったときに感じる耳が詰まったような「ボワーン」とした音。鳴らし方も、ハンドベルの縁を棒で擦っていて、こんな奏法もあるのかと口を開けて見てしまいました。
イングリッシュ・ハンドベルの誕生は17世紀イギリス。教会の塔にある大鐘を鳴らす練習用が始まりとされています。今回は「きりく」により、クラシックから映画音楽まで幅広く聴くことができました。アストル・ピアソラ作『鮫』では、ヒタヒタと背中に迫る恐怖。人間と鮫の対峙する緊張感がサスペンスのように表現されていました。
ハンドベルの音がとても複雑で豊かなものだとわかったのは、奏者の巧みな手の動き。強弱をつけた振り方や緩急をつけた止め方、隣の奏者のハンドベルを使う点は予想外でした。演奏を聴きながら、リーダーの大坪泰子さんの言われた「ハンドベル用に1曲作るのは、ピアノの鍵盤をばらして一つ一つ付け替える作業」が、形になっていると実感しました。まだまだ私達が知らないハンドベルの魅力を引き出す「きりく」。きっとこれからも、アッと驚く演奏を生み出してくれると思います。


【FORUM PRESSレポーター】第93回かすがい芸術劇場 「林家つる子・三遊亭わん丈 二人会」


「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。

今回は、2025年2月15日(土)に開催された
第93回かすがい芸術劇場 「林家つる子・三遊亭わん丈 二人会」をレポート!

Report542 【イキのいい落語!生で聴く幸せ‼】みと満寿美
「女性初の抜擢真打」「香盤(=噺家の序列)12人抜き」の林家つる子さんと、彼女と同時に「16人抜きで抜擢真打昇進」の三遊亭わん丈さんの二人会。始まる前から、会場は、人もワクワクも満場です!前座は春日井出身の柳家しろ八さん。春日井ネタのマクラで会場は温かい笑いに包まれます。主役のお二人のマクラも楽しく、親近感が増して期待は最高潮に。
つる子さんの現代落語『スライダー課長』は、野球音痴の上司に野球を教える若者の苦労話で笑いが絶えません。つる子さんの可愛らしいビジュアルからは想像できない骨太な話っぷりに正直びっくり。ギャップ萌えです。お次は、わん丈さんの古典『ねずみ』。声がいい!声音(こわね)の使い分けが絶妙な上に、初めから終わりまで笑いどころばかり。お芝居を見ているようでした。
休憩を挟んで、わん丈さんの創作『花魁の野望』。大岡越前がもし花魁を娶(めと)ったらこんな展開ありかも⁈楽しいしおかしい。トリはつる子さんの古典『子別れ』。地名にちなんで「子はかすがい」のいいお話。亀坊の健気さやおっかさんの心情が沁みました。寒波続きの縮こまった心にほっこりでした。


【FORUM PRESSレポーター】100年の時を越えて 展覧会 金子みすゞの詩(うた)


「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。

今回は、2024年11月29日(金)~12月22日(日)に開催された
100年の時を越えて 展覧会 金子みすゞの詩(うた)をレポート!

Report540 【じっくりと味わう金子みすゞの詩の世界】山田真由美
「みんなちがって、みんないい。」 金子みすゞさんの『私と小鳥と鈴と』の中の、私が大好きな一節です。遠回りばかりの人生に自信を持てなかった時、そのままの自分でいいんだよ、と包み込んでくれるような優しさを感じたのを覚えています。関連企画として行われた金子みすゞ記念館館長・矢崎節夫さんの講演会には、本当にたくさんの方が聴きに来ていて、多くの人の心にみすゞさんが生きているのだと感じました。
展覧会場入り口に歓迎するかのように掲げられていた「ふるさと仙崎マップ」の、空と海の深い青色が美しいイラストもとても印象的でした。会場の中は、みすゞさん直筆の詩から、じっくりとその世界観を感じることのできる空間となっており、一つひとつの作品を心から味わうことができました。
遺稿手帳には512編の詩が綴られていたそうです。私は、みすゞさんが生れ育った山口県北部の日本海に面した町、仙崎を訪れ、もっと詩の世界を肌で感じてみたくなりました。そして、自分の手帳の「やりたいことリスト」の一番上に“金子みすゞさんのふるさと仙崎へ行く”と記しました。

Report541 【巡り会えた奇跡】紀 瑠美
まずは、金子みすゞ記念館館長・矢崎節夫さんの講演会に。童謡詩人を目指していた矢崎さんは、みすゞの詩に衝撃を受け、長年の苦労の末、みすゞが自身の詩を書き綴った3冊の手帳と巡り合いました。手帳には512偏が収められ、自己評価と思われる「×」や「Δ」が付けられた詩も。展覧会では手帳の中をそのまま撮影したパネルも展示されていたので、直筆の詩と共に、この印も見られました。
「鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい。」というフレーズが印象的で、みすゞの名は知っていましたが、改めて彼女の世界の広がりに驚きました。会場には前述の手帳が桐箱に入ったまま展示されていました。出すと壊れてしまう恐れがあるそうです。戦争をくぐり抜け、一人(矢崎館長)の熱い思いがあり、多くの人にその詩が届けられたことに感動しました。みすゞの詩や世界観を表現した絵本の原画や様々なアーティストによる作品など、多様な表現に触れられたのも楽しかったです。


【FORUM PRESSレポーター】アン・サリー&クラヤ ~北欧のクリスマス2024~


「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。

今回は、2024年12月14日(土)に開催された
アン・サリー&クラヤ ~北欧のクリスマス2024~をレポート!

Report539 【優しきシンガーと妖精達のライブ】勝 実雄
東部市民センターで開催された「アン・サリー&クラヤ ~北欧のクリスマス2024~」を鑑賞しました。
第1部は、スウェーデンの“白樺の街”として知られるウメオで誕生した、女性4人のアカペラグループKRAJA(クラヤ)。まさに北欧の森の妖精の様な美しい4人の歌声。豊かな表現力と優れたアレンジ、そして、美しいハーモニーが聴く人を魅了しました。また、北欧で放牧した牛を呼ぶ伝統的歌唱法のキュールニングも披露してくれました。
第2部は、名古屋出身、シンガー・ソングライター・ドクターのアン・サリーさんとピアニスト林正樹さんのステージ。アンさんのやさしく情感溢れる歌声と、林さんの繊細でしっとりとした演奏に惜しみない拍手が送られました。余談ですが、この日歌われたジョニ・ミッチェルの名曲『青春の光と影』。高校時代にラジオで聴いていた思い出を蘇らせてくれました。良い音楽はいつまでも心に残るものですね。


【FORUM PRESSレポーター】令和6年度(公社)全国公立文化施設協会主催 松竹大歌舞伎


「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。

今回は、2024年11月14日(木)に開催された
令和6年度(公社)全国公立文化施設協会主催 松竹大歌舞伎をレポート!

Report538 【役者よし!演目よし!華やかな和の時間】みと満寿美
「錦之助さん・隼人さん父子はいいよ」と勧めてくれた友人に感謝です!
素顔で観客席から登場した隼人さん。トークも面白く、笑いで会場が和みます。写真撮影OKの時間もあり、幕開き前から“隼人ファン”になっていました。
最初の演目は「双蝶々曲輪日記 引窓」。世情の義理と、親子の情愛の物語に、江戸時代も今も人は同じ様なことで悩んだり、思いやったり、そして喜んだり、涙しているのだなぁと、しみじみしました。
続いて「身替座禅」。狂言を基にした舞踊劇です。楽しいし面白い。舞台は狂言と同様、背景の松の絵と和楽器、謡の方々のみ。観客の想像力が膨らみます。目の前の人物が奥方様とは知らず、浮気の一部始終をほろ酔い加減で上機嫌に語って聞かせるお殿様。恐妻家のお殿様を隼人さんがユーモラスに品よく演じていました。
衣裳がとても豪華で美しく、和楽器と謡も華やかで迫力があり、改めて“和の魅力”を実感。非日常の贅沢な時間と空間を存分に楽しませていただきました。


【FORUM PRESSレポーター】舞踊劇 御伽ノ介絵巻(おとぎのすけえまき)其の壱 ~桃太郎~


「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。

今回は、2024年8月10日(土)に開催された
舞踊劇 御伽ノ介絵巻(おとぎのすけえまき)其の壱 ~桃太郎~をレポート!

Report536 【あっぱれ、粋で艶やか桃太郎】横井 八洲世
お子様ランチのように楽しみ盛りだくさんの舞踊劇桃太郎。第1部では日本舞踊や落語を分かりやすく解説した後、「普通の歩き方と踊りのすり足はどう違う?」とクイズが出されると、子どもたちは「ハイッ、ハイッ」と元気に手を上げ、答えると嬉しそうです。
第2部はいよいよ、煌びやかな着物に陣羽織を纏った桃太郎の登場です。テンポのいい語りと美しい舞で話は進みます。お供のイヌ、サル、キジはアニメーションで賑やかに参加。場面に合わせたピアノとバイオリンの音色も心に響きます。鬼ヶ島の決戦で桃太郎は刀を使わず、日の丸の付いた金の扇を振り、床をドン!と踏みならして戦います。みんなが大きな拍手で応援すると、桃太郎はどんどんパワーアップ。ついに鬼を退治することができました。
ミラーボールがキラキラ輝いたり、桃太郎が客席に降りて子どもたちとハイタッチしたり。まるで一緒に鬼退治したような気持ちになる楽しい舞台でした。

Report537 【舞踊×語り×音楽×映像!?】田本 莞奈
「はじめての伝統芸能体験」を子どもたちに届けようと行われた本公演。私は日本舞踊を習っていて舞台を観ることも多いですが、落語やクラシック音楽がどのように融合されるのか興味があり、観に行くことにしました。
着到がかかると、梅川壱ノ介さんの口上で幕開き。その後、日本舞踊や落語の見方を、舞台と客席の対話形式で楽しく学びました。三遊亭鳳志さんが小噺をすると、会場は笑いでいっぱいに。子どもたちもとても楽しそうでした。
公演後半の「桃太郎」は、舞踊と語り、クラシック音楽、アニメーションによる作品です。人間が舞うのは壱ノ介さん演じる桃太郎のみで他の動物や鬼は映像の中。それでも自然と物語に入り込めるような一体感でした。照明も工夫され、雷を表現したりミラーボールを使用したりと迫力満点。壱ノ介さんが客席に降りて、子どもたちとハイタッチをする場面もありました。
何度もカーテンコールが続いた本公演。“其の弐”の開催も楽しみにしています。


【FORUM PRESSレポーター】東京楽所 雅楽公演 ~管絃『七夕』 舞楽『源氏物語』~


「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。

今回は、2024年7月7日(日)に開催された
東京楽所 雅楽公演
~管絃『七夕』 舞楽『源氏物語』~
をレポート!

Report534 【時を旅する】宮川 あけみ
宮内庁式部職楽部の楽師らで構成される東京楽所。初の春日井公演ということもあってか、会場はほぼ満員。どんな演奏が聴けるのか期待する気配ムンムンでした。
公演は管絃と舞楽の2部構成。それぞれ『七夕』と『源氏物語』にちなんだ演目が披露されました。『七夕』といえば、彦星と織姫の話は、はずせません。この話を題材にした漢詩に曲をつけ、演奏したのが「朗詠二星」。一年に一度の逢瀬の喜びと別離の切なさが、音色からより深く感じられました。管絃で使用された楽器のなかで、へぇーと思ったのは、笙の取扱い方。吹き終わる度に、楽師が手元の電熱器の上でぐるぐる回しながら乾燥させていました。そのかわいらしい手つきにもクスッ(笑)。舞楽は『源氏物語若菜・蛍』から、四人舞「萬歳楽」と一人舞「落蹲」。ともに色彩豊かな装束と冠を身に着け、大きな袖をゆったり翻して舞う姿は、溜息すら出ません。
目の前で繰り広げられる古式ゆかしい世界は歴史そのもの。遠くシルクロードを経て、日本で独自の発展を遂げた雅楽。終演直後、客席に一瞬の静寂があったのは、会場全体がタイムスリップしていたのかもしれません。

Report535 【雅楽にうっとり、七夕の午後】紀瑠美
七夕の昼下がり、満員の客席に司会の野原耕二プロデューサーが喜びと感謝を伝えます。「雅楽、初めての方は?」の問いかけに、大勢が挙手。そして、楽器紹介へ。宮内庁式部職楽部の多忠輝代表が衣装を身に纏って登場しました。それぞれの楽器の構造や音色が何を表現するかなどの解説は興味深く、時にユーモラスで面白かったです。
第1部は、七夕にちなみ織姫と彦星の歌「朗詠二星」。流麗な旋律にうっとりし、二人の再会に想いを馳せます。第2部は舞楽「源氏物語」から「萬歳楽」と「落蹲」。美しい絹の衣装で舞者が舞いました。
東京楽所は主に宮内庁式部職楽部の楽師で構成され、公演回数は年6回と決まっているそう。その貴重な1回を「来年も春日井で上演できたら―。雅楽は季節で音階が決まっているので、次は時季を変えて年明けなんていいですね」とおっしゃいました。
ぜひ、お越しください!衣装の刺繍の細部が見えるくらい間近の席を予約します‼


【FORUM PRESSレポーター】インリーチ・コンサートVol.4おいでよアート・ドア かさなりあう弦 ヴィヴァルディ&モーツァルト


「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。

今回は、2024年8月30日(金)に開催された
インリーチ・コンサートVol.4おいでよアート・ドア
かさなりあう弦 ヴィヴァルディ&モーツァルト
をレポート!

Report532 【手のひらが楽器に!】山田 真由美
「何でできているの?弦は?弓は?」から始まった、インリーチ・コンサートおいでよアート・ドア。詩(ことば)と楽曲を照らし合わせて情景を思い浮かべながら、音楽を感じたり、演奏に参加したりしました。
客席を演奏しながら走り回るヴァイオリンの弓の動きを必死に目で追いながら、弓に合わせて私たちも手のひらをこする曲もありました。摩擦で音を出すという弦楽器。弦と弓代わりの両手の平が熱くなるほど、子どもも大人も一生懸命でした。共演⁈が終わると、ひときわ大きな拍手が沸き起こり、会場は一体感に包まれました。間近で奏でられるコントラバスの重低音がずっしりと体に響くのを感じたり、ヴィオラの落ち着いた音色にじっくり耳を傾けるのも初めての経験でした。
今回、こうしたプロの演奏家による体験型の演奏会が、市内の保育園や幼稚園、学校などの子どもたちから幅広い市民に向けて行われていることを知り、またぜひ訪れたいと思いました。

Report533 【弦楽器の本当の美しさを体感】長村 己喜子
開場前から長蛇の列。皆さんとても楽しみにしている様子が伺えます。会場は200人程のスペース。始まると、生演奏を聴くのに相応しい大きさだと分かりました。眼前で奏でられる弦の音色に脳からα波が溢れるようで、心地よさを感じます。聞けば、学校を回って子どもたちに演奏やお話をされているそう。私の身近に弦楽器はあまりないので、触れ合う機会があるなんて、なんともうらやましい限りです。
最初の曲はヴィヴァルディの「四季」。この曲に添えられている詩があるなんて、ちっとも知りませんでした。解説のあと演奏が始まりまると、今までと全く違います。立体的に音が迫ってきて、ただ耳で聴いていた音が、この時は耳を経由して心と共鳴していると実感しました。加えて、軽快なおしゃべりや、時に客席を走り回る汗だくの熱演、さらに馴染みの深い選曲。身構えるストレスのないクラシック・コンサートで、心身ともにデトックスしていただきました。


【FORUM PRESSレポーター】三谷幸喜×戸田恵子 「虹のかけら」~もうひとりのジュディ


「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。

今回は、2024年6月14日(金)に開催された
三谷幸喜×戸田恵子
「虹のかけら」~もうひとりのジュディ
をレポート!

Report530 【タイムマシーンに乗ってきました】関谷 正明
「ニューヨークにいる気分で観てください」。戸田恵子さんがこう言って始まった「虹のかけら」~もう一人のジュディ。てっきり普通のお芝居と思っていたのですが…。
オズの魔法使いで有名なジュディ・ガーランドの影に隠れたもう一人のジュディの日記を朗読する舞台。朗読の間にはガーランドの名曲を素晴らしい演奏と戸田さんの伸びのある歌声で再現。春日井のあと、カーネギーホールでも上演されるとあって、日記の表現力なのか、歌なのか、はたまたバンドメンバーによる絶妙なお芝居の魅力なのか、本当に20世紀のニューヨークにいるのではないかと錯覚する瞬間が何度かありました。
そして、悲しいガーランドの最期と、もう一人のジュディのその後。二人の数奇な人生を日記というタイムマシーンで駆け足で体験でき、最後のオチと、戸田さんの可愛らしくもシニカルがつまった動きにも心奪われました。素晴らしく、それでいて不思議な楽しさが残る舞台でした。

Report531 【IT’S SHOW TIME!】長村 己喜子
ジュディ・ガーランド?しかも、その付き人の物語?全く分からないまま着席すると、本作の構成・演出の三谷幸喜さんによる場内アナウンス。その内容が私の心を完全に見透かしたようで、あまりに核心を突かれ、思わず吹き出してしまいました。
舞台が始まると、愛知出身の戸田恵子さんの地元ネタにも笑わせていただき、知らぬ間に物語の中へ誘(いざな)われていました。気づくと私はニューヨークのカーネギー・ホールに。スポットライトを浴びて歌う戸田さんの姿はキラキラと輝き、まさに舞台の醍醐味を体感。女性3人による生演奏も、素敵な音色とともに、コミカルにアクセントを加えていました。馴染みの曲が多く、終始聴き入りました。そして、最後の最後に会場がドッと沸くのです。ネタバレになるので書けませんが、三谷さんの手のひらで完全に転がされていたと分かった瞬間でした。「うわ~三谷幸喜にしてやられた!」。まさにエンターテインメントな夜でした。