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【FORUM PRESSレポーター】誕生45周年記念 ねずみくんのチョッキ展 なかえよしを・上野紀子の世界


「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。

今回は、2023年2月17日(金)~3月19日(日)に開催された
誕生45周年記念 ねずみくんのチョッキ展 なかえよしを・上野紀子の世界



Report480 【絵本からの優しいまなざし】宮川あけみ

刊行45周年を迎えた「ねずみくんの絵本」。シリーズは39作を数え、世代を超えて愛されています。なかえよしをさん・上野紀子さんご夫婦で、それぞれ構成と絵を担当して生まれました。「みんなに長い間読まれている理由は?」そう思いながら、原画一枚一枚を見ました。初期~最近のものまで、一貫して平易な言葉遣いに鉛筆を用いた柔らかい描き方、そして無限の広がりを感じさせる背景の白。水墨画のような佇まいも感じます。黒と白の対比もあり、ねずみくん達の表情がよりハッキリと見え、嬉しそうだな、悲しそうだなと気持ちが伝わってきました。お二人がテーマにする「目に見えない大切なものを表現する」とは、ねずみくんのように他者の気持ちに心を寄せること。「それがみんなにはできるよ」と分かってほしかったのだと思います。原画からの優しいまなざしは、絵本を読む子どもが大人になっても残るもの。それが、読み継がれている理由かも知れません。


Report481 【ねずみくんにキュン!】松葉栄子

シンプルなイラストと分かりやすい文章のねずみくんの絵本シリーズ。原画が並ぶ会場は子どもから大人まで多くの来場者で大盛況!なかには親子孫三世代の方も!さすが45年以上読み継がれる作品です。大きなパネル展示になっていて、自分がねずみくんのように小さくなって絵本を読んでいるみたいな体験ができてとても楽しい!鉛筆で描くイラストはこすれて汚れてしまいそうですが、繊細で美しく、優しい言葉と鉛筆の濃淡で表現される温かい世界にチョッキの赤が映えます。ねずみくんの優しさ、ガールフレンドのねみちゃんとの互いを大切に思い合う気持ちに心が洗われるようです。気持ちを素直に伝えるって素敵です。最後のコーナーで原画を描いていた上野紀子さんが亡くなられていること、夫で作家のなかえよしをさんがお一人で今も絵本を作り続けていることを知り、ねずみくんに感動していた気持ちがいっそう増して、涙が出てきました。温かな感動に感謝です。




Report482 【ずっと変わらない“ねずみくん”のメッセージ】神戸菜々美

世代を超えて愛される絵本「ねずみくんのチョッキ」。赤いチョッキがトレードマークの小さな小さなねずみの男の子です。小さい頃に読んでいた方も多いのではないでしょうか?そんな大人気の絵本が、展覧会になって春日井にやってきました。魅力はなんといっても“シンプル”さ。濃さの違う鉛筆を使い分けて描かれたモノクロの絵と、余白にちょこんと載った文章に心がくすぐられます。展覧会では、絵本の原画が展示されていて、絵を見ていくごとにお話が分かるようになっていました。たくさんの仲間の動物たちが登場しているのも可愛らしく、思わずほっこりしてしまいます。実は、ねずみくんの身長は 2.6 センチだそう。小さなからだで頑張る、友達思いのねずみくん。大人になった今読み返すと、本当の優しさに気づかされます。シリーズは39作を数えますが、ねずみくんは変わることなく、私が出会った時のねずみくんのままでした。



Report483 【小さなボディに大きなハート】みと満寿美

緑色の枠、真っ白な空間に赤いチョッキを着た小さな小さなねずみくん。懐かしさと同時に新鮮でおしゃれなポスターに惹かれ、原画展に行ってきました。入り口は表紙さながらのデザインで、まるで絵本に入り込んでいくようでした。「ねずみくん」は、昔子どもと一緒に読んだ馴染みの絵本ですが、今回、発見したことがありました。ねずみくんは身長2.6cmで、絵本の中ではずっとこの大きさだったのだ!鉛筆画は優しい雰囲気で、無彩色の画面の中、チョッキや水玉のリボンの赤色やホットケーキの黄色が際立って華やかです。2.6cmのねずみくんですが、びっくりした時の大きな口や、大好きなねみちゃんとのこれからを夢想する幸せそうな顔とか、じっくり観察するのも楽しく、友だちを大切にする優しい大きな心を持った小さなねずみくんに癒されました。ご夫婦で作りあげた絵本への思いにも触れることができ、会場の楽しい仕掛けにワクワクした原画展でした。


【FORUM PRESSレポーター】親子のためのはじめての音楽会vol.9 ジャンブル・カルテット


「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。

今回は、2023年3月16日(木)に開催された
親子のためのはじめての音楽会vol.9をレポート!



Report478 【楽しい!質が高い!参加しなきゃもったいない!!】みと満寿美

平日の午前なので、客席は3歳位までの小さなお子さんとお母さんたちが多く来ていて、トトロやディズニーでお馴染みの曲が続き、皆よそ見もしないでくぎ付けです。小さな手で一生懸命に拍手する姿もかわいい。声を出しても泣いてもOKと言われているのにこの集中力はすごい。司会進行も軽妙です。
♪『It’s a small world』では、世界の国々をイメージする音がいろんな楽器で奏でられました。「カホン」という打楽器は柔らかい音で、日用品の何か?と思うような形で気取りがありません。スクリーンには曲に合わせて、「はらぺこあおむし」や動物達の手製スライドが映し出され、視覚的にも楽しい!その上、大人のための曲も用意されるという充実ぶり。最後は全身を使って会場みんなで、♪『幸せなら手をたたこう』を熱演。ピアノ、ヴァイオリン、サクソフォン、パーカッションによる、こんなにも本格的な演奏会が自分の子育ての時にもほしかったです。



Report479 【みんなで集う、幸せな時間】紀瑠美

ステージ前のマット席も、後方の椅子席も満席です。子ども達は、抱っこしてもらったり、座ったり、寝転んだり。たくさんの親子が、リラックスした様子で開演を待ちます。
出演は、実力派揃いの「ジャンブル・カルテット」。面白いトークと素敵な演奏に、みんなで手拍子したり、体を動かしたり。楽しくなって、踊ったり、歩いたりする子もいました。『はらぺこあおむし』では、演奏に合わせてスクリーンに手作りスライドが映され、ヴァイオリニストの山部里恵さんが歌を披露。スライドを見る子、ステージを見る子、親を見る子、隣を見る子、眠る子、みんな幸せそう。同じ空間で一緒に音楽を楽しみながら、それぞれの心地良い過ごし方を満喫しているようです。
終演後、「久しぶり」と知人の声。「ジャンブル・カルテットさんは、やっぱり上手いね。『はらぺこあおむし』では、この子スライドに釘付けだったわ」と笑顔。子どもが喜ぶと、お母さんも嬉しいですね。


【FORUM PRESSレポーター】西村まさ彦の音楽劇「ピーターとオオカミ」


「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。

今回は、2023年3月5日(日)に開催された
西村まさ彦の音楽劇「ピーターとオオカミ」



Report474 【ほら、いろいろな音が聞こえるよ】川島寿美枝

ロシアの作曲家プロコフィエフが子どものためのオーケストラ入門曲として作った、お話付きの「ピーターと狼」。メロディーは誰もが一度は聴いたことがあるでしょう。ナレーションは映画やTVでも活躍されている西村まさ彦さん。両隣は並びいるオーケストラではなく、ギター中心に沢山の楽器に囲まれた大嶋吾郎さん。そして、サックスを中心にこれまた沢山の楽器に囲まれた副田整歩さん。この3人で、オーケストラに負けない迫力でジャズ風に編曲された音楽物語が始まります。
少年ピーターがうっかり農場の扉を閉め忘れたことから、逃げ出したアヒルが狼に丸呑みされます。ピーターは他の動物たちと知恵を出し合って救出作戦を開始。ずい分昔に聴いた楽曲なので、物語の結末をすっかり忘れていましたが、熱演する西村さんの語りに惹き込まれ、ワクワクしました。臨場感を駆り立てる絶妙なサウンドも相まって、80分の上演はあっという間に過ぎ去りました。



Report475 【となりはピーター】宮川あけみ

子どもたちのために、ロシアの作曲家プロコフィエフが手掛けた『ピーターと狼』。その作品に着想を得て、語り手の俳優西村まさ彦さん、音楽担当の大嶋吾郎さんと副田整歩さんの3人による「音楽劇」になりました。主人公ピーターは牧場の鍵を閉め忘れ、逃げ出したアヒルを腹ペコ狼に食べられてしまいます。アヒルを救うため、小鳥や猫、狩人の助けを借りるのですが、結末は?
舞台の西村さんは、一人何役も演じ分けて大変。場面転換や効果音、ピーター達の動きや気持ちを盛り上げる音楽の役割も大きかったです。救出が成功したシーンでは、縛られた狼や助け出されたアヒル、どこか誇らしげな表情のピーター達が目の前にいる気がして、心の中で「ヤッター!」と万歳していました。声の魔法といってもいいでしょう。会場にいた誰もが、ピーター達を体感していたように思います。「もう終わっちゃった」、帰り際に聞こえた女の子の言葉に、激しく同意です。




Report476 【上手い!ダンディ!かっこいい!】紀瑠美

原作は、作曲家プロコフィエフが子どもたちのために書いた「ピーターと狼」。今回は、西村まさ彦さんが鈴木勝秀さんに脚本を依頼したオリジナル「音楽劇」です。
大嶋吾郎さんと副田整歩さんの演奏で開演。カッコイイ!短いフレーズを録音し、それを流しながら演奏して再び録音。その工程を繰り返して音楽が作られます。期待感が高まったところへ西村さんが登場し、さらに笑ったり、拍手をしたりと盛り上がります。
そして、本編。様々な役を”語り”で演じ分ける西村さん。瞬時に変わる様も素晴らしく、何人かで掛け合いをしているよう。キャラクターごとの曲や場面を展開させる音楽にも、わくわく、どきどき。両者の相乗効果で、ぐいぐい引き込まれます。情景描写も豊かで、特にアヒルがオオカミに驚いて逃げ惑う様子は見事!はたしてアヒルは…。
ダンディな雰囲気の音楽劇ですが、子どもも存分に楽しめたよう。客席からは盛大な拍手が鳴り続けました。



Report477 【朗読と音楽の三つ巴】松葉栄子

子どものための音楽作品「ピーターと狼」。音楽朗読劇と言っても今回は、朗読がメインだろうと思っていましたが、楽器を紹介するかのように演奏が始まりました。大嶋吾郎さんはボーカルが本業とのことですが、ギターなど多彩な楽器と、記録した音やリズムをその場で演奏するルーパーを操って、すぐに厚みのある音楽に。副田整歩さんは、サクソフォンを中心に感情豊かな音色を奏でます。お二人が両脇をガチっと固める中に西村さんの朗読。ピーターをはじめ、おじいさん、オオカミなど出てくるすべてを演じ分けます。迫力ある音にも負けない、早さと勢いのあるセリフに、自分も動物になって世界をぴょんぴょんと跳ね回っているような気分になりました。終演後、子ども用の座布団を抱えた男の子が「面白かったねー」と家族に話す姿を見て、私の楽しさも倍増!朗読劇に入る前の西村さんの“春日井トーク”から興味をそそられ、終始、惹きつけられっぱなしでした。


【FORUM PRESSレポーター】生で聴く“のだめカンタービレ”の音楽会《室内楽版》


「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。

今回は、2023年2月19日(日)に開催された
生で聴く“のだめカンタービレ”の音楽会《室内楽版》をレポート!



Report473 【「のだめ音楽会」誕生の地で】紀瑠美

春日井発祥の『生で聴く“のだめカンタービレ”の音楽会』は、全国に広がり、今なお人気。私も大好きです。
入場するとロビーに行列。着ぐるみと一緒に来場者が写真を撮っています。「あれは何ですか?」とスタッフに聞くと、「“のだめ”に出てくるマングース」と教えてくれました。「漫画も映画も観ていないんです」と言うと、「そういう方にも、ぜひ、お越しいただきたいです。出演者も喜びます」と笑顔です。
のだめファンはもちろん、クラシック愛好家や初心者が楽しめる工夫も随所に。出演者やスタッフの熱意、観客の期待や感動に包まれて聴く演奏は最高です。ピアニストで司会もされた高橋多佳子さんが、「“のだめ音楽会”誕生の地で、『室内楽版』を初めて開催します。素晴らしいメンバーによる特別編成です」と喜びを伝えます。互いをリスペクトしながら奏でる音色は本当に美しく、室内楽ってこんなに楽しいんだと感動しました。


【FORUM PRESSレポーター】春風亭一之輔独演会


「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。

今回は、2022年11月13日(日)に開催された
春風亭一之輔独演会をレポート!



Report471 【どこを切っても楽しい独演会】松葉栄子

傘をさして並ぶ人でカラフルな会場前。「このホール有名な人が来るんだねー」「人多いね。完売?」とのお客さんの会話に、「来るよー」「完売でーす」と心の中で応えました。
満席の会場に興奮!前座は三番目の弟子いっ休さん。みんなの期待が溢れ出たのでしょう、登場前から沸く拍手にいっ休さんは驚いた様子。つるっときれいな頭が、なるほど一休さん。しかし、最初の名づけは『耳なし芳一』だったとか。受け継がれる「いち」の名前ですが、それでは笑いづらい。いっ休さんでよかった~。
一之輔さんの落語は枕までも面白い!枕だけでオチがつく?と思うほど大笑い。無論、本題もがっつり楽しませてもらいました!現代の要素も盛り込まれていて、古典落語が新しく感じます。ご自身や周囲の心情を表す言葉に、顔芸のような表情まで加わるので、落ち着いたしゃべりにも関わらず、会場のテンションは上がりっぱなし。改めて人気っぷりを実感いたしました!


【FORUM PRESSレポーター】浅田政志写真展「Life Stories」&アーティストトーク


「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。

今回は、2022年11月26日(土)~12月18日(日)に開催された
浅田政志写真展「Life Stories」&アーティストトークをレポート!



Report469 【写真の力】宮川あけみ

「家族写真」を取り上げた映画「浅田家!」でも注目される写真家・浅田政志さん。いたずらっ子のような笑顔を見せる方でした。
浅田さんが撮影した家族は、ここ春日井にもいます。撮影前に、家族の方と対話を重ね、イメージを膨らませて一緒に作り上げる。そうして出来上がった作品は、家族の想いや願い、喜びや悲しみが感じられて胸が熱くなりました。
ほかに、銭湯の浴場をほぼ真上から撮影したアングルで、蝶も一緒に写る不思議な世界のものが。初日のトークイベントで、開閉型ドーム屋根を持つ珍しい銭湯だったことや脚立からではなく、浅田さんが屋根の上から撮影したとお聞きしました。また、蝶はおじいちゃんの葬儀にも姿を見せており、今回おじいちゃんの姿も残したいとの思いから、この形になったそうです。
大切な1枚に写る様々な家族に会い、自分のこと、家族のことを静かに考える時間になりました。浅田さんの言う「写真の力」。強い。



Report470 【家族写真は蕎麦の味】高塚康弘

映画にもなった「浅田家」のなりきり写真は、家族構成の変化に伴って人数が増えます。今回、一人の視点から家族を捉えた「私の家族」も撮影されました。それぞれの設定や小道具から見えてくるのは日々の生活、時々の夢でしょうか。
初日のトークイベントにゆったりしたパーカー姿で登場した浅田さん。「一人で撮影、作品化できるのが写真の魅力のひとつ。でも、協力してくれる人がいないと一枚も撮れないのが僕の写真」とにこやかに話されました。「数十年後に見返される時が写真のゴール。自分の経験が反映され、その度に見え方が違う」とも。東日本大震災後に現地で写真洗浄し、持ち主に返却する活動をした経験から、プリント写真の大切さも語りかけました。
会場には被写体となった家族の姿もあり、どこか親戚の集まりのよう。その賑やかな子どもたちの声や蕎麦屋「三心」のお店の空気なども盛り込んで、今回の「私の家族」はできているのかも知れません。


【FORUM PRESSレポーター】若手音楽家支援事業ワンコインコンサート FUNのファンタスティック・クリスマス


「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。

今回は、2022年12月23日(金)に開催された
若手音楽家支援事業ワンコインコンサート FUNのファンタスティック・クリスマスをレポート!



Report468 【南からのクリスマス・プレゼント】川島寿美枝

第一級寒波が日本列島を覆った12月23日。春日井出身のユーフォニアム奏者・波多野江莉さんがパーカッションの左合栞さん、ピアノの河原翌真さんと奏でるトリオ「FUN」のクリスマスコンサートがありました。いつもは展覧会を行うギャラリーが会場。何故?と思いましたが、室内楽に適した音響効果が出せるそうで、アットホームな暖かいコンサートとなりました。
クリスマスといえば北欧の雪があるロマンチックな雰囲気を想像しますが、なんとラテン音楽を中心にした南半球の熱いクリスマスがテーマです。名曲「イパネマの娘」やアルゼンチンタンゴの巨匠ピアソラの曲が演奏されました。後半は江莉さん作のオリジナル音楽劇。春日井特産で南国イメージのサボテンと少年の物語を自筆のイラストとの“アンサンブル”で紡いでいきました。最後のアンコール曲は観客の手拍子で盛り上がり、写真撮影もOK!アイドルのライヴのような楽しさでした。


【FORUM PRESSレポーター】アン・サリー&カルデミンミット ~北欧のクリスマス支度~


「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。

今回は、2022年12月3日(土)に開催された
アン・サリー&カルデミンミット ~北欧のクリスマス支度~をレポート!



Report467 【静寂の中の温かさに癒されて】奥村啓子

北欧のクリスマスとはこんなにも静かで清らかなのだと思いを馳せながら、日ごろの騒がしい感情をすっかり遠くに追い払って時を過ごすことが出来ました。
透き通る歌声は、静寂と共に神々しい雰囲気に会場を包み込み、何故か涙ぐんでしまいそうになります。悲しみの涙でも喜びの涙でもなく、静寂と清らかさが呼び覚まさせてくれる感情なのでしょうか。久しく無かった落ち着いた自分の心を見出せました。
伝統撥弦楽器カンテレと美しく繊細なカルデミンミットのコーラスが続いた後は、愛知県出身の歌手アン・サリーさんの歌声が響きます。「音楽で世界を旅する」楽しさをと、『蘇州夜曲』『ムーン・リバー』など幾つかの国の代表的な歌が続き、曲間のアンさんとギタリスト・小池龍平さんとのユーモアを交えた会話も場を和ませ温かい雰囲気に。アンさんの歌声も柔らかく耳に届き、“音のしじまの透明感と楽しさ”を堪能するコンサートでした。


【FORUM PRESSレポーター】Cutting Edge 狂言 真夏の狂言大作戦2022


「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。

今回は、2022年8月27日(土)に開催された
Cutting Edge 狂言 真夏の狂言大作戦2022をレポート!



Report464 【シン・狂言】宮川あけみ

のっけから「普通の狂言舞台ではありません!」オーラ全開でした。照明もない舞台上に演者がバラバラと登場し、5人揃っても準備運動かと思う動きをするだけ。会場内は幕開けしたと思わず、ざわついたまま。「何が始まったんだ?」と視線が集まり静かになったのは、5人が舞い始めてから。まさか、洋楽にノリノリで舞うとは誰も思わなかったはず。今回の見所は、この自由な動きではないかと思いました。
茂山逸平さんは解説の中で、「新ユニットが目指すのは、狂言ポラリーダンス」と言われました。Contemporary(現代的・当世風)danceに、自分たちの狂言をミックスさせていく。古典芸能としての制約も、狂言ポラリーダンスなら軽~く飛び越えていける自信がありありと見えます。古典「棒縛」をしっかり見せた後で、後半は自由さを強調した現代仕立ての狂言を見せる。新しい狂言の世界を令和の時代にどう構築していくのか楽しみです。



Report465 【夏の大宴会】高塚康弘

初めて狂言を見る人は「びっくりしない、つっこまない」とのお言葉で始まった舞台。前半の「棒縛」は手を縛られた太郎冠者と次郎冠者が器用にお酒を盗み出して宴を始める古典。「狂言の技術を使っておじさん達がふざけるのであきらめてください」と言われた後半はオリジナルの新作が目白押し。日本の観光の主役の座めぐって、観光地の精と和食の精が争ったり、鮮魚コーナーなどで流れている曲を「スーパーの呼び込みでかかっているアレ」と呼んで力強く謡うなど、まさに“Cutting Edge(最先端) ”の笑いが繰り広げられました。鮮やかな切り口とさまざまな味わい。名人の包丁さばきを見るような、達筆で駄洒落が書かれた掛け軸を見るような舞台でした。万人に愛され、「お豆腐狂言」とも呼ばれる茂山千五郎家の狂言は動画チャンネルでも楽しく見られます。豆腐屋さんの軽トラが来なくなって久しい地元で、再び一座が回ってくる日を待ちたいです。


【FORUM PRESSレポーター】OKB大垣共立銀行presents第46回春日井まつり前夜祭 元ちとせコンサート2022 in 春日井


「FORUM PRESSレポーター」による「わたしレポート」。
市民ボランティアが、かすがい市民文化財団のアレコレを紹介します。

今回は、2022年10月14日(金)に開催された
OKB大垣共立銀行presents第46回春日井まつり前夜祭 元ちとせコンサート2022 in 春日井をレポート!


Report460 【熱唱!奄美の歌姫】阪井真佐子
春日井まつり前夜祭で行われた「元ちとせコンサート」。百年に一人と言われたその唯一無二の歌声は、間違いなく観客を魅了しました。
トークでは、お茶目ぶりも発揮し、「私の名前を元(もと)ちとせと読む人がいるのですが、だったら今は?」なんて冗談も飛ばします。奄美には一字苗字が多いそうで、飼っていた鳥や猫に憧れていた二文字の苗字を付けていたという面白い逸話もありました。故郷奄美に、今も住んでいて、シマ唄のようなメロディーは、なんとも言えない心地よさを感じました。その歌い方は実にダイナミックで、高音の抜けるような響きある歌声には、鳥肌が立つほどでした。
今年デビュー20年と聞いて驚きました。あの社会現象を起こした『ワダツミの木』の大ヒットからもうそんなに時が経ったのかと思うほど、元ちとせさんは若々しく美しかったです。ふるさとをこよなく愛している姿にも、共感を覚えました。前夜祭に相応しい贅沢な一夜でした。


Report461 【元ちとせは歌だけじゃないゾ】みと満寿美
「一度聴いたら忘れられない」。元(はじめ)ちとせさんの歌声を聞くと多くの人がこう感じるのではないでしょうか。透き通る独特な高音。力強い歌いっぷり。なにより情感たっぷりに全身で歌い上げる姿。
トークは自然体で、どちらかと言うとクール。でも内容は興味深く、何度も笑ってしまいました。元という苗字は珍しいけれど、奄美大島の苗字はほとんどが漢字一字。島の人たちは漢字二字の苗字に憧れがあって、幼い頃、連れ帰った鳥のヒナにつけた名前は「遠藤くん」。飼っていた猫は「小林くん」。本土に多い漢字二字の苗字は、それほどまでに憧れたそうです。全校生徒4人の内3人は元さん姉妹だったことや、鹿児島から転勤で来られ、3年間教えてもらった恩師との思い出など…。奄美大島の美しい景色と温かい人とのつながりの中で育まれた元さんの魅力あふれるトークで、私たちはすっかり魅了され、名曲「ワダツミの木」で最高潮に達したのでした。